冷たい風が頬を刺して

週末は良く晴れました。お昼頃、暇だったので、少しだけ雪割り(氷割り)をしてみました。日が照っていたのであったかいのかと思ったら風が強くて、結構寒かった…10分で退散です。

 

これ便利。ちょっと 重いけど。

氷割り ガン太 CS

氷割り ガン太 CS

 

 

図書館で本を借りました。一度に五冊まで借りられますが、この頃はずっと一冊だけにしています。昔は速読派で毎日一冊・二冊・三冊…程度は軽く読めましたが、年々集中力理解力がなくなってきていて、一冊にとても時間がかかるようになりました。そしてすぐ忘れるのね…。なんか悲しい。

辻征夫詩集 (岩波文庫)

辻征夫詩集 (岩波文庫)

 

沈黙 

 

 いきなり電話が鳴ったので

ぼくは目覚めてしまったのだ

 

夢の中でぼくは

一冊の詩集を読んでいたのだが

その一篇がすばらしかった

思わず

すばらしいとぼくは呟き

夢だなぞとは夢にも思っていなかった

 

だが 目覚めたとたんに

ぼくは忘れてしまったのだ

 

どんな詩であったか

だれの詩であったか

みんな なにもかも

ぼくは忘れてしまったのだ

 

電話の向こうでは

友だちが言っている

もしもし もしもし

今日 会おうよ

一時に?

二時に?

三時に?もしもし

 

一時に 二時に 三時に

ぼくは友だちに会うだろう

そしてぼくらは語るだろう

 

夢のことでなく

現実のぼくらの生活について

ぼくらの今日と

明日の不安について

とめどもなく

ぼくらは語らねばならぬだろう

 

そして 語ってもなお

ぼくは思い出せないだろう

あの美しい

いつまでも

ぼくは思い出せないだろう

そして書くこともできないだろう

 

ぼくは友だちに言う

 

すばらしいことはみんな夢の中で起った

ぼくらはそれを思い出せないで暮している

一篇の詩

ぼくらの苦しみでは創り出せない詩

それを思い出そうとしてぼくは歩いている

ぼくの沈黙を許したまえ と

             (沈黙 辻征夫『学校の思い出』)