AMUR
ポカポカ陽気が気持ち良い。日が沈むと一気に気温が下がります。
パリ都心部の風格あるアパルトマンに暮らす音楽家の老夫妻。
満ち足りた夫婦の日々は、ある日妻の発病で突如暗転する。
「二度と病院に戻さないで」妻の切なる願いを聞き入れ、夫は自宅でともに暮らすことを決意。
不自由な体に苦悩しながらも、誇りを失わず、これまで通りの暮らしを毅然と貫くアンヌ。
それを支えるジョルジュ。
しかし、アンヌの病状は確実に悪化し心身は徐々に常の状態から遠ざかっていった。
現実との狭間で次第に二人は家族からも世の中からも孤立していく。
ふたりきりになったジョルジュとアンヌ。
ある日、夫はうつろな意識の妻に向かって、懐かしい日々の思い出を語り出す。
よくある老老介護の話かと思ったら違った。
愛する女がゆっくりと死に向かっている。男は、彼女の悲しみや苦悩を全て受け止めようとした。
最後に部屋を出て行くジョルジュの姿。画面に向かって思わず手が伸びてしまった。
(あー、行ってしまうんだ。貴方、幸せだったんだよね?いい人生だったんだよね?ね?)そう問いかけながら、泣けて仕方なかったです。