親バカだっていいじゃない

三つくらい前の日記で挙げたポールサイモンの「恋人と別れる50の方法」のライブ映像。

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 スティーヴガッドのマーチング風ドラムに優しく寄り添う、リチャードティーのピアノも素敵だな〜。フェンダーローズというエレクトリックピアノだそうですよ♪

聞いてるうちにふと思い出したのが、グローバーワシントンJr.(sax)のアルバムwine lightの中の、just the two of us。ああ、やっぱりこれもリチャードティーフェンダーローズ。ヴォーカルはシンガーソングライターとしても活躍するビルウィザースです。

 

えっと今日はリチャードティー、じゃなくて、ビルウィザースのお話。

 

 


Bill Withers - Just The Two Of Us (official video)

 カラオケ…

なんかこれさ「クリスタルの恋人たち」って邦題なんとかならんのか(^_^;)あとこのビデオ、後ろのクネクネダンスもなんだかなって感じですね。

 

ビルウィザース、けっこう好きなんです。名前を知ったのは、クルセイダーズラプソディアンドブルースというアルバムに収録された、ソウルシャドウズという曲。

渋いのよ。


Bill Withers - Soul Shadows

 

 

その次にビルウィザースの名前を目にしたのはミックジャガーのソロアルバムwandering spirit(93年)。これでミックがビルウィザースのカバーをやってた。

 use me。この曲良いなー。ビルウィザースの方も聞いてみたくなってアルバムを買いました。今度はfuturingじゃなくて本人名義のアルバムです。

 

ミックがレニークラヴィッツと演ってるuse meもかっこいいけど、本家ビルウィザースのuse meがメチャクチャ良いと思いました。

ミックジャガー


Mick Jagger - Use Me (ft. Lenny Kravitz)

ビルウィザース 


Bill Withers - use me

友だちは俺に分からせようと躍起になっている

君が僕を利用しているだけだと

利用されてこんなに良い気分になれるなら 僕を利用し続けて構わない

利用し尽くして カラカラになるまで 僕を利用するがいい

 

 

ビルウィザースには生まれつき軽度の吃音症があった。「振り返ってみると、吃り(どもり)のために、わたしはとても繊細になったと思う。吃る人間は誰でも一生傷ついた感情を引きずる。その繊細さが私の作品を生み出した。」人前で話すということに劣等感と重圧を感じていた青年期。読書家でもあり、次第に(自分には言葉の使い方に才能がある)と気づく。曲を書くという表現を見出して恐れを克服し前に進もうという力が湧いてきた、と語っています。しかし二十代のほとんどは海軍兵として過ごし、その後は飛行機の整備、牛乳配達、工場勤務など職を転々として、三十三歳、ain't no sunshineでデビュー。

 

ain't no sunshine


Bill Withers - Ain't No Sunshine

 彼女が行ってしまうと陽は差さない

彼女がいないと暖かくない

彼女がいないときはいつもひどく長すぎる

今度はどこへ行ったやら

いつまで留まるつもりやら

彼女が行ってしまうと陽は差さない

彼女がいなくなるとこの家も家庭とは言えない

わかっている、よくわかっている

若い娘は自由にしてやるべきだと

でも彼女がいないと陽は差さない

この家も家庭じゃなくなる

彼女がいないときはいつも

彼女がいないときはいつも

彼女がいないときはいつも

彼女がいないときはいつも

 

 

 

grandma’s hands


Bill Withers - Grandma's Hands

おばあちゃんの手 キャンディをくれた

おばあちゃんの手 転ぶたびに起こしてくれた

おばあちゃんの手 いつでもそこにあった

よく言ってたっけ

「マティ その子を叩くんじゃない

なんでお仕置きなんかするんだい

りんごの芯を床に落としただけだろ」

だけどおばあちゃんはもういない

天国へ行ったら真っ先に探そう

おばあちゃんの手

 

lean on me 。数多くのカバーが存在します。国境を超えた音楽プロジェクトplaying for changeにも使われました


Lean On Me | Playing For Change | Song Around The World

ブラザー、僕を頼ってほしい 助けが必要な時は

みんな頼れる人が必要なのさ

僕が悩んでいることは 君が理解してくれるかもしれない

誰にでも頼れる人は必要なんだ

 

lovely  day 珍しくと言ったら失礼だけどビルウィザースの中では明るい曲ですね。これもカバーとか、サンプリングというのかな、結構耳にしますね。


Bill Withers - Lovely Day (Audio)

前に待ち受けるその一日へ

立ち向かうのは不可能に思える

僕を除いた他の人はみんな

いつもうまくやっているのに

そんな時、君を見つめると

世の中とうまくやれそうな気になる

君を一目見れば

今日一日が良き日となるような予感がする

lovely day

 

 

ビルウィザースは70年頃からプロとして活動していましたが、派手に売り出そうという周囲の思惑や契約上のトラブルなどレコードビジネスの世界に嫌気がさし、77年から85年まで音楽活動を休止します。そして85年に最後のアルバムを出して引退。

 

「最初の契約からトラブルだった。私はダンスもしなければケバケバしいファッションに身を包むこともない。契約上の駆け引きもしない。一度契約をすると今度は二枚舌の連中とのトラブルに見舞われた。私はストリートの人間ではないしゲットーでの生活も知らない。アパラチア山脈のあるウエスバージニア州の、スラブフォークという田舎の出身なんだ。父は炭鉱士でありユニオンのメンバーであり教会のメンバーでもあった。母はメイドだった。」

 

 

引退はしたけれど、曲はスタンダードとして歌い継がれ、本人もインタビューやセレモニー、トリビュートコンサートなど、声がかかれば出ているようです。ただ、そういう派手な場所では、決して歌わない。

 

 

何年か前に、ミュージックエアでビルウィザースのロングインタビューを見ました。昔のこと、自分の音楽については饒舌なのですが、引退の理由に質問が及ぶと急に機嫌が悪くなって話をはぐらかすのね(⌒-⌒; )

そして途切れるようにインタビューが終わると突然、娘のコリ・ウィザースが現れ、パパのヒット曲を歌うという、予想外の展開になりました。

 

 

 

 

これは‥

 

ビジネス用語でいうところの‥

 

バーター

 

というものではないだろうか‥‥

 

 

 

なんか色々ツッコミたくなるけど‥

 

 

 

 

いいじゃん!いいじゃん!

 

 

 

 

俺様のプライドより娘!

娘が大事なの!

 

 

引退までして頑なに守ってきた自分の信念を、大切な宝物(娘)のためにアッサリ曲げるなんて。

 

かっこいいわ。男気だわ。きっと自分自身が一番よく分かってる。揚げ足取られたって構わない。何を言われようが、俺は、愛する娘のために、今、俺ができることをしただけ。

 

 

 

 

まあ、娘が可愛くて仕方ないんでしょうね。繊細かつ圧倒的な表現力を持った素晴らしいシンガーソングライターBillWithersも、我が子のこととなると、なりふり構わず親バカになってしまうんだな、ある意味貴重な素顔を見せてもらいました笑 ビルウィザース バンザーイ!!

 

ジャスト・アズ・アイ・アム(紙ジャケット仕様)

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メナジェリィ(期間生産限定盤)

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ライヴ・アット・カーネギー・ホール(紙ジャケット仕様)

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Lean on Me-Best of Bill Withers

Lean on Me-Best of Bill Withers

  • アーティスト:Bill Withers
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2000/06/01
  • メディア: CD
 

 

ワンダーリング・スピリット [Analog]

ワンダーリング・スピリット [Analog]

  • アーティスト:ミック・ジャガー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: LP Record
 

(アナログ出たんですね)

 

 

マイ・ラヴ

マイ・ラヴ

  • アーティスト:笠井紀美子
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2014/10/22
  • メディア: CD
 

use meのカバーあり

 

 

ラプソディ&ブルース

ラプソディ&ブルース

  • アーティスト:クルセイダーズ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/11/23
  • メディア: CD
 

 

 

生活の詩(うた)

大きなやかんを

空のまんなかまでもちあげて

とっくん とっくん 水をのむ

とっくん とっくん とっくん とっくん

のどがなって

にょろ にょろ にょろ つめたい水が

のどから むねから いぶくろへはいる

(中略)

どうして こんなに 水は うまいもんかなあ

こんな水が なんのたしになるもんかしらんが

水をのんだら やっと こしがしゃんとした

ああ 空も たんぼも

すみからすみまで まっさおだ

おひさまも たんぼのまんなかに

白い光を ぶちまけたように 光っている

遠いたんぼでは しろかきの馬が

ぱしゃっ ぱしゃっと 水の光をけちらかしている

うえたばかりの苗の頭が風に吹かれて

もう うれしがって 伸びはじめているようだ

さっき とんでいったかっこうが

村の あの木で 鳴きはじめた

(水   大関松三郎詩集「山芋」より)

 

〝空のまんなかまでもちあげて〟って、が絵が浮かんできますね。視点が移っていく様子が好き。

大関松三郎詩集 山芋

大関松三郎詩集 山芋

  • 作者:大関 松三郎
  • 出版社/メーカー: 百合出版株式会社
  • 発売日: 1951/02/10
  • メディア: 単行本
 

 

大関松三郎(1926-1944) 新潟県出身。18歳で戦死。1951年小学校の恩師の手により遺稿を集めた詩集「山芋」が出版された。

 

夕日にむかってかえってくる

川からのてりかえしで

空の はてからはてまで もえている

みちばたのくさも ちりちりもえ

ぼくたちのきものにも 夕日がとびうつりそうだ

いっちんち いねはこびで

こしまで ぐなんぐなんつかれた

それでも 夕日にむかって歩いていると

からだの中まで夕日がしみこんできて

なんとなく こそばっこい

どこまでも歩いていきたいようだ

遠い夕日の中に うちがあるようだ

たのしいたのしいうちへ かえっていくようだ

あの夕日の中へかえっていくようだ

いっちんち よくはたらいたなあ  

(夕日  大関松三郎詩集「山芋」より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

daily mix

おはようです🙂みなさま今年もよろしくね。

 

年末のてんまつー

大掃除が進まないって言ってたらあれから急用ができて数日間家を空けることになってしまいました。大掃除やめて小掃除チャチャチャで終わりました🧹🧤🧽🧼

小掃除の友♪daily mix

f:id:listentomybluebird:20200104120145j:image

 

 

帰ってきたらもう年の瀬。今度はお正月の準備です。

北海道の年末年始は、クリスマス方式というか前夜(大晦日)をメインに据える家庭がほとんどなんです。大晦日の夜に御節だのオードブルだのテーブルいっぱいに並べてみんなで紅白なんか見ながら食べるんです。大人になるまで日本全国そうだと思ってました。「ちびまる子ちゃん」の大晦日の回を見て、マジで?お蕎麦だけ⁈ってビックリしましたよ。(でもさ、他所から見たら道民が変わってるんだよねきっと)

我が家ではここ数年本州方式を(都合良く)採用して大晦日は年越し蕎麦メインです。(合ってる?)準備する立場だと絶対その方がラクだもん。本州方式バンザイ🙌(間違ってたりして)

 

1she's such a beauty 、 2 somebody made for me 、 3 promise I've made


The Best of Emitt Rhodes

 daily mixで知ったエミットローズ。プロフィールは下記。

エミット・ローズ

エミット・ローズ

  • アーティスト:エミット・ローズ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2001/08/29
  • メディア: CD
 
Listen Listen: Best of

Listen Listen: Best of

  • アーティスト:Emitt Rhodes
  • 出版社/メーカー: Varese Sarabande
  • 発売日: 1995/08/29
  • メディア: CD
 

エミットローズ。ロサンゼルス郊外ホーソーン出身。17歳時自宅ガレージでメリーゴーラウンドという4人組バンドを結成。67年A&M よりシングル「 ライヴ」でデビュー。ビートルズの影響を受けたサウンド、洗練されたメロディと見事なハーモニーで地元ロサンゼルスで好セールスを記録する。解散後、ソロアーティストとしてダンヒルと契約。70年アルバム「EMITT  RHODES」リリース。全ての楽器、ヴォーカルを自身が手掛けたワンマンレコーディングスタイルによる、ビートルズとりわけポールマッカートニーからの影響濃いメロディアスな佳曲が並び全米26位のヒット。71年「mirror」72年「farewell to paradise」リリース。その後は裏方としてスタジオワークにまわる。「listen listen Best of Emitt Rhodes」はメリーゴーラウンドからソロにかけての代表作を集めた編集盤、 80年録音の未発表曲が一曲収録されているがビートルズ色は薄れAORテイストとなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掃除が進まない

 

お題「今日の出来事」

数日前ラジオをきいてたら「今年もあと10日あまり〜」って言ってて、いやいや、なに言ってんの?まだでしょー?って思ってカレンダーを見たら、ほんとだった。焦りました。大掃除、全然してない…。

昨日から始めたけど、思うように進まないんですよね。今日も頑張ります。はー、終わるんだろうか…

 

 

知った時にはもうsold outだった20日札幌シティジャズのスティーヴガッド。良かったみたい…。 

世界最高峰ドラマー スティーヴ・ガッド登場! | SAPPORO CITY JAZZ

 

 

 


Paul Simon with Steve Gadd - 50 Ways To Leave Your Lover (Live From Philadelphia).flv

stuff名義、ジャズフュージョンもいいんだけど歌ものの伴奏も良いですね。stuffからはリチャードとエリックも。(最後にメンバー紹介あり)

 


Paul Simon - One-Trick Pony (Live)

 

 

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A Day of Providence

ひとつ忘れてはいけないことは
僕たちは戦争に負けた国に生まれたってこと
どういう意味かは人によって少しずつ違うけれど
この事実だけは 誰にも違わないってこと

 

魚雷艇に乗っていたハンサムな兵士が
戦勝国のリーダーになった頃のこと
「神の恵み」という名の戦艦が僕の町に来て
白い服を着た大きな人たちが町に溢れた

 

A Day of Providence 子供達は船に群がり
親切な兵士達に “give me”と 小声で悲しく歌ってた
A Day of Providence ポケットはチョコレートで膨らみ
ひきかえに こころは しぼんでいったよ 青い空だった

 

あの爆弾をこの町に落とした人が
今度は僕たちの国を護っていると聞かされて
僕には どういう意味だか 呑み込めなかったんだ
そう、もう少し大人になる迄は

 

何故そうなったのかは判らないんだけれど
僕が大人になるにつれて この国はひどくなった
「わがまま」と「自由」との境目がどんどんぼやけてゆき
「おとな」が「こども」になり 「子供」が「大人」になった

 

国を語れば“left”からブーイング
平和を歌えば“right”からクレーム
こんな風に僕の言葉は 怪しげに変わって行く
美しい言葉は この国の誇りだったのに

 

A Day of Providence 自由になったはずだった
親切な白い人が“trust me”と 小声で優しく歌ってた
A Day of Providence 大人達は誇りを失い
ひきかえにチョコレートを 神棚に飾った

 

これからの子供達に伝えてゆこう
僕たちの間違いを繰り返さぬように
二度と戦わないという強い意志と共に
二度と魂を売り渡さない勇気を

 

これからの子供達に伝えてゆこう
これからの大人達に伝えてゆこう
間違いをただすために未来はあるのだと
未来こそが「神の恵み」そのものだということを

 

A Day of Providence この美しい季節の中で
本当の僕たちの笑顔を 作り直せばいい
A Day of Providence この美しい星に生まれて

 

いつの日か永遠の平和を君が手にするために

いつの日か永遠の笑顔を君が抱きしめるために

さだまさし 「神の恵み A Day of Providence」)

 

先週ユカイさんのラジオで紹介されてた。いい歌だと思ったのでシェアです。

 

私が十代のころ、ネアカ、とか、ネクラ、って言葉があってね、ネクラ=性格が暗いって烙印を押されることは、けっこう堪え難いことだった。カッコ悪く、嘲笑の的になった。あの、ネクラという言葉に苦しめられた人は少なくなかったと思うよ。

聴く歌の好みさえネタにされ、〇〇なんか聴くの〜?暗っ!ってね、余計なお世話だよね、大体明るい暗いって何なんだ?でもそういう風潮だった、あの頃は。知らない人ほど言うんだと思う。

さださんの歌も、ずっと聴き続けてる人は勿論多いと思うけど、私なんか、人の話だけで、暗いから聴かないって避けていたと思う。

……………………書きながら思い出した。私は「防人の詩」のレコードを持っている。小学生のとき戦争映画「二百三高地」を一人で観に行ってポロポロ泣いて帰りにレコードを買ったんだった。家に帰ってレコード聴きながらまた映画を思い出して悲しくなって泣いていたよ。暫くしてさだまさしを聴くやつは暗いと誰かから聞いて、レコードはそっと棚の奥にしまった。聞かなかったことにした。しかし何事もなかったことにはならない。四十年を経て、今は誰に遠慮することなくさだまさしを聴く。四十年前も堂々と聴けば良かったのにね。

心の時代(プライス・ダウン・リイシュー盤)

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新自分風土記I~望郷篇~ (初回限定盤)

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桑名正博さんのdon't let me be lonely tonight


Don't Let Me Be Lonely Tonight

これ良いなぁ〜。すごい素敵。

これね、原曲は確かJTだと思うんだけど、たくさんのシンガーがカバーしている有名な曲ですよね。私はジャズヴォーカルのケイコ リーさんのが好きで、この桑名さんのmc聴いててふと、もしかしてTOKUさんはケイコさんのを聴いていたのかな?と想像してみたり…

私の世代だと桑名正博さんといえばカーリーヘア、革のスーツ、セクシャルバイオレットNo.1、なんだけど、洋邦問わずいい曲を歌い継ぐということをなさっていたんだなあと、youtubeにあがってるcoverものを見てて思いました。

ちなみにケイコさんの歌うdon't let me be  lonely  tonightはこのアルバムに入っています。(試聴あり)

ビューティフル・ラヴ

ビューティフル・ラヴ

 

 

「 桑名正博」をきいてみようかな。この辺りどうなのかな。物色中。

テキーラ・ムーン

テキーラ・ムーン

  
ファニー・カンパニー +5 Tracks

ファニー・カンパニー +5 Tracks

  
For Paradise

For Paradise

 
GOLDEN☆BEST桑名正博-MASAYAN 40Years-

GOLDEN☆BEST桑名正博-MASAYAN 40Years-

 
マハロ

マハロ

 

 

 

百年文庫「空」

 

(055)空 (百年文庫)

(055)空 (百年文庫)

 

早春の美しい朝、画家になることを決意したその日から、いくの の新しい人生が始まった。理想の生活をひたむきに追い求め、辿りついたあまりにも無垢で素朴な生(北原武夫『聖家族』)。酒場の匂い、群衆のざわめき…、故郷を捨て、アメリカでの人生を選んだ男の目に鮮やかに浮かんだ景色とは(ジョージ・ムーア『懐郷』)。結婚生活のほとんどを闘病に費やした妻と、彼女の死を看取った「私」。諦念、しかし希望を予兆させる強靭な魂の記録(藤枝静男『悲しいだけ』)。人生を生き抜こうとする者たちの強さが圧倒的な三篇。

 

 

北原武夫「聖家族」

奇妙な話。これは寓話のようなものと捉えればいいのか。じゃなきゃ極端すぎる。しかし感動に近い読後感があったのも事実。

無垢とひたむきのブルドーザー…主人公「いくの」…が、身の程の壁をぶち破り常識をなぎ倒しながら一本道を突き進む。ある日、二度目の夫…これがまた無職のくせに生活力だけはあるというフシーギな男なんだけど…彼の助言で一切の仕事を辞めてしまう。一家は火事で家を失い、焼け跡で極めて原始的な生活を始める。時代は太平洋戦争末期。世の中の流れに〝敢えて〟背を向け生きる(しかし孤立はしていない)家族の行く末は…。含みのある結末だけど、私は彼らが未来へ向かったと信じたい。

前半、夢に向かって驀進する「いくの」に呆れてしまったのは、私が今不寛容な世界に生きているからなのか。この作品が発表されたのが1947年ということを踏まえると、色々思う事が出てくる。長い戦争が終わり、価値観が逆転した世界を目の当たりにした、作者からのメッセージが込められていると思う。

 

 

ジョージ・ムーア「懐郷」

体調を崩し、アイルランドへ帰郷した男。一度でも故郷を離れて暮らしたことのある人なら、誰しも覚えがあるんじゃないか。田舎の景色の懐かしさ、旧知の煩わしさと温かさ、それと嫌悪感が交互に押し寄せる、波のような感情。

無数の「捨てたこと」「やめたこと」「選ばなかったこと」の積み重ね、その上に人は立っている。捨て去ったと思った物は、意外と足元に転がったまんまだったりする。時々チラッと視界に入ったり、不意に躓いたり、気まぐれで拾い上げてみたり。人生はスモーキーマウンテンの上、なんて言ったら身も蓋もなくなるかしら。しかし捨てたものをなかったことにして「うまくやった話」より余程リアルで胸に迫ってくる。勝つか負けるか、成功か失敗か、幸せか不幸せか…単純な比較では語りえない、人生の物語。

 

藤枝静男「悲しいだけ」(随筆)

著者の職業は医師。自然の中に身を置き、妻を亡くした喪失感と向き合う。「妻が死んで悲しい、という感情が、塊のようになって、物質のように実際に存在する」という。

墓の前に立ち、その下に眠る人たちとの記憶を手繰り寄せてみる。亡くなった妻は間もなく、そして自分もいずれは此処に入る…

死者を思い出す…それは死者との対話でもあるのですね。人は死んだら終わりというけれど、そりゃまあそうに違いないけど、身近な人の死を経験したあと、自分の人生を重ねてみて、初めてわかることってあるよね。長い年月を経てからあらためて向き合うと、ちょっと違う思いが芽生えてくる。それが遠い世界から話しかけられたような不思議な感覚になることがある。

この人はお医者さんだから、職業柄、人が死に向かっていく様も、生きようとする様も、具に見た経験がある。立ち塞がる強固な悲しみを、冷静に分析整理しようとする。生きていかねばならぬから。

 

百年文庫「空」

三つとも根源的な話だった。いつの時代も、どんな場所でも、人は空を見上げながら、綿々と生活を紡いできた、ということか。

過去も未来も今いる場所も二度と戻れない場所も、みんなおおきな空の下(もと)に続いてる

 

面白い、というのとは違うんだけど、なかなか読み応えのある三作だった。自分の好みで選んでいたら出会えない作品だった。十代二十代で読んでもサッパリわかんなかったと思う。今だって全部分かったとは思ってない。

 

 

 

しっくりくる言葉がなかなか見つからず、借り物の靴を履いて歩いたような気持ち悪い文章になってしまった。あとでしれっと書き直す。