百年文庫 顔
なぜ私はだまされたのか?彼の顔を読み違えたのか?生命保険会社で長年、訪れる客を審査してきた「私」が遭遇した意外な復讐劇(ディケンズ『追いつめられて』)。パリの雑踏で出会った「善良な悪魔」に魂を売り渡した男が、地下の豪奢な屋敷で繰り広げる不思議な対話(ボードレール『気前のよい賭け事師』)。イールの街で掘り出された青銅のヴィーナスに魅入られた男たちの異教徒的な恐怖体験を描いたメリメの『イールのヴィーナス』。欺かれる快感をどうぞ。
メリメの『イールのヴィーナス』は怖い話だった。
怖い話、好き。オカルト世代だから。(70年代から80年頃にかけてオカルトブームというのがあったんですよ。その洗礼を受けた世代です。信じる信じないとかじゃなくてね、好き。)
〝恐ろしいこと〟が起きる。それは土中から掘り出されたヴィーナス像の仕業に違いないんだけど、なぜヴィーナス像がそのような力を持っているのか最後までよくわからないことが尚更怖い。
メリメはあの『カルメン』の作者。作家のほかに考古学者としての顔を持っていた、その経験が生きた作品。遺跡の発掘に関わっていると、この手のいわくつきの何かに出会う事は珍しくなかったのでしょう。
ディケンズの『追いつめられて』。騙された?これ、騙されたっていうかな〜。わからなくて三回くらい読み直しました。わかったら、面白かった。
なんか怪しい、嫌な感じがする、直感は意外と侮れないもの。
ボードレール『気前のよい賭け事師』。成功と引き換えに悪魔に魂を売るというストーリーはよくあるね。
これは最後の一言が効いてる。
悪魔に魂を売る という話で思い出すのはこれ。
ブルースマン、ロバートジョンソンのクロスロード。十字路(クロスロード)に現れた悪魔と取り引きをして、自分の魂と引き換えに、超絶のギターテクニックを手に入れたという話。ロバートジョンソンは27歳の若さで突然死していて(毒殺されたとも言われている)それがこの伝説の流布に拍車をかけたのかもしれませんね。
これをモチーフにした映画やドラマは結構たくさんあるようです。
ほんの一部。
スーパーナチュラル、ホラー系の、1話完結のドラマ。
シーズン2、8話「地獄の猟犬」
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冒頭シーンに登場。約束のタイムリミットが来てロバートジョンソンは地獄の猟犬に連れていかれたということになっている。彼の持ち歌にそういう歌詞が出てくるのね。
クロスロードの悪魔と取引をした現代の人たちをハンターの兄弟が救おうとするが…というエピソード。