A Day of Providence

ひとつ忘れてはいけないことは
僕たちは戦争に負けた国に生まれたってこと
どういう意味かは人によって少しずつ違うけれど
この事実だけは 誰にも違わないってこと

 

魚雷艇に乗っていたハンサムな兵士が
戦勝国のリーダーになった頃のこと
「神の恵み」という名の戦艦が僕の町に来て
白い服を着た大きな人たちが町に溢れた

 

A Day of Providence 子供達は船に群がり
親切な兵士達に “give me”と 小声で悲しく歌ってた
A Day of Providence ポケットはチョコレートで膨らみ
ひきかえに こころは しぼんでいったよ 青い空だった

 

あの爆弾をこの町に落とした人が
今度は僕たちの国を護っていると聞かされて
僕には どういう意味だか 呑み込めなかったんだ
そう、もう少し大人になる迄は

 

何故そうなったのかは判らないんだけれど
僕が大人になるにつれて この国はひどくなった
「わがまま」と「自由」との境目がどんどんぼやけてゆき
「おとな」が「こども」になり 「子供」が「大人」になった

 

国を語れば“left”からブーイング
平和を歌えば“right”からクレーム
こんな風に僕の言葉は 怪しげに変わって行く
美しい言葉は この国の誇りだったのに

 

A Day of Providence 自由になったはずだった
親切な白い人が“trust me”と 小声で優しく歌ってた
A Day of Providence 大人達は誇りを失い
ひきかえにチョコレートを 神棚に飾った

 

これからの子供達に伝えてゆこう
僕たちの間違いを繰り返さぬように
二度と戦わないという強い意志と共に
二度と魂を売り渡さない勇気を

 

これからの子供達に伝えてゆこう
これからの大人達に伝えてゆこう
間違いをただすために未来はあるのだと
未来こそが「神の恵み」そのものだということを

 

A Day of Providence この美しい季節の中で
本当の僕たちの笑顔を 作り直せばいい
A Day of Providence この美しい星に生まれて

 

いつの日か永遠の平和を君が手にするために

いつの日か永遠の笑顔を君が抱きしめるために

さだまさし 「神の恵み A Day of Providence」)

 

先週ユカイさんのラジオで紹介されてた。いい歌だと思ったのでシェアです。

 

私が十代のころ、ネアカ、とか、ネクラ、って言葉があってね、ネクラ=性格が暗いって烙印を押されることは、けっこう堪え難いことだった。カッコ悪く、嘲笑の的になった。あの、ネクラという言葉に苦しめられた人は少なくなかったと思うよ。

聴く歌の好みさえネタにされ、〇〇なんか聴くの〜?暗っ!ってね、余計なお世話だよね、大体明るい暗いって何なんだ?でもそういう風潮だった、あの頃は。知らない人ほど言うんだと思う。

さださんの歌も、ずっと聴き続けてる人は勿論多いと思うけど、私なんか、人の話だけで、暗いから聴かないって避けていたと思う。

……………………書きながら思い出した。私は「防人の詩」のレコードを持っている。小学生のとき戦争映画「二百三高地」を一人で観に行ってポロポロ泣いて帰りにレコードを買ったんだった。家に帰ってレコード聴きながらまた映画を思い出して悲しくなって泣いていたよ。暫くしてさだまさしを聴くやつは暗いと誰かから聞いて、レコードはそっと棚の奥にしまった。聞かなかったことにした。しかし何事もなかったことにはならない。四十年を経て、今は誰に遠慮することなくさだまさしを聴く。四十年前も堂々と聴けば良かったのにね。

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